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 健康寿命延伸のこつを探る「にいがた健活講座」が11月25日(土)、新潟市中央区の市産業振興センターで行われました。当日同会場で開かれた「福祉・介護・健康フェア2023in新潟」との連携企画で、初めての出張版講座。新潟大学栄養病態学講座の細島康宏特任准教授が「CKDって何?」と題して講演。新潟県立大学の村山稔子准教授は慢性腎臓病の食事について解説し、多くの来場者が聞き入っていました。


にいがた健活講座「CKDって何?」

新潟大学病態栄養学講座

細島康宏特任准教授

 

 ほそじま・みちひろ 新潟大学医学部卒、博士(医学)。腎臓内科医として新潟大学医歯学総合病院に勤務するとともに、栄養関連の基礎および臨床研究も行っている。新潟県CKD・糖尿病対策推進協議会の委員を務めている。

 

 

 症状なく進む腎機能の低下


 CKD(慢性腎臓病)は、腎機能が徐々に低下していく、さまざまな腎臓病の総称です。患者数は全国に約1330万人で、成人の8人に1人の割合です。症状が進むと血液透析になる可能性があります。「たんぱく尿(アルブミン尿)がある」「GFR(糸球体ろ過量)60未満」のいずれか、または両方が3カ月以上続くと診断されます。

 アルブミンは、体内で最も多いタンパク質です。腎臓に傷が付くと、大事な栄養素であるアルブミンなどのタンパク質が尿に漏れ出てしまいます。

 GFRは、腎臓の働き具合を示す数値です。100点満点で60点を切ったら要注意という意味です。外来や健診ではeGFR(推算糸球体ろ過量)が使われています。人間ドックや健診の結果では血液検査の「クレアチニン」の下に記載されていることが多くあります。

 腎臓はいろいろな働きをしていますが、最も重要なのは、血液中の毒素と余分な水分を尿として体外に排出することです。全身から流れてくる血液を糸球体というろ過装置に通し、不要物は尿に、それ以外の体にとって大事なものは全身へ戻します。GFR値が60未満というのは、例えるなら、1日100個毒素ができても40個以上は尿に排出できず、体内にたまる状態のことです。




糸球体硬化が毒素ろ過に影響


 糸球体は、糖尿病や高血圧などがあると糸球体の硬化が進み、ろ過機能が低下します。しかも、完全に硬化を起こした糸球体は二度と回復せず、特効薬がないので治せません。加齢や喫煙、肥満、脂質異常症なども動脈硬化の要因になります。健康に悪いと言われているものは、全て腎臓に悪いと考えてもらってもよいと思います。

 症状としては、毒素や水分が排出されないため、むくみが出てきます。日本腎臓学会ではGFR10未満を透析導入の一つの基準としていますが、実は透析になるギリギリまで症状が出ない人がほとんどです。自覚症状がなく進行するので、突然、医師に「あなたは腎臓病です。明日から透析です」と言われる人も多いのです。若い時から定期健診を受け、早期発見することが重要になります。


「食事性酸負荷」抑える食を


 予防方法は、生活習慣の改善と栄養指導です。特に、野菜や果物をしっかり食べることが大切だと考えています。厚生労働省の「健康日本21(第3次)」では、1日あたり野菜350㌘、果物200㌘の摂取を目標としています。目安は、野菜がもやし1袋とトマト(中玉)1個、果物がみかん1個とバナナ1本くらいです。

 食品には、酸性食品とアルカリ性食品があります。肉や魚、卵などは酸性食品で、こればかり食べていると体に酸がたまります。酸をたくさん取る「食事性酸負荷」が高い食事をしていると、がんや認知症、骨折、生活習慣病、腎臓病などのリスクが増えます。食事性酸負荷を減らすには、野菜や果物、海藻などのアルカリ性食品を食べる必要があります。

 魚沼地方の40歳以上の一般住民を対象とした魚沼CKDコホート研究で、食事性酸負荷が高い人はアルブミン尿の陽性率が高いことが分かりました。逆に言えば、食事性酸負荷が低ければ、CKDを抑えられる可能性があります。野菜や果物を積極的に食べましょう。


講演 慢性腎臓病の食事



 管理栄養士でもある新潟県立大学人間生活学部健康栄養学科の村山稔子准教授はCKDの食事について話しました。ポイントの一つに減塩を挙げ、「新潟は男女とも食塩摂取量が多い。漬物を1日1種類にしたり、ラーメンの汁を残したりと、1日1㌘減らすことから始めましょう」とアドバイスしました。また、腎臓の状態によってはたんぱく質を控える場合があるが、医師や管理栄養士と相談しながら行うよう説明しました。


ステージでは多彩な催し


  フェアの特設ステージでは他にも、「健康立県にいがたアンバサダー」に就任したよしもと新潟県住みます芸人4人による「活動報告」や、9~10月に全国から募集したシニア川柳の表彰式などさまざまな催しが行われました。





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