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 妙高市のけいなん総合病院が、要介護者を減らす取り組みを進めている。加齢により身体や認知の機能が低下する「フレイル」を予防する教室を開催。昨年、改修してオープンした院内のリハビリテーションセンターを使い、初めて企画した。医療再編も見据え同院は、地域に根差した病院として高齢者の自立の支援にも力を入れていく意向だ。



 けいなん総合病院は、常勤医不足や患者数の減少から2019年6月、入院病床170床のうち50床を廃止。リハビリテーションセンターは、廃止した病床があったスペースに移転し、広さや機能を拡充して20年3月から稼働していた。

 19年9月には厚生労働省が「再編・統合の議論が必要」とした全国の公立・公的病院に、けいなん総合病院もリスト入りした。地域の医療再編の議論も進む中、政二文明(まさに・ふみあき)院長(67)が掲げる「地域包括ケアシステムの一員として、リハビリテーションや疾病予防の啓発活動にも力を注ぐ」との方針に基づき、フレイル予防教室を計画。ウイルス禍が落ち着く状況をみて今回、実行に移した。

 教室は全2回行われ、70~90代の市民10人が参加した。講師には院内の理学療法士のほか、整形外科医や保健師、管理栄養士も加わった。

 2回目となった11月25日は、管理栄養士が「加齢とともに筋肉をつくる力が低下する」とし、若い頃より食事でタンパク質を多くとるよう助言。間食にタンパク質を多く含むヨーグルトや豆乳を選ぶことなどを勧めた。理学療法士は、座ったままできるストレッチや筋トレの方法を教え、センター内にあるマシンを使ったトレーニングも指導した。

 参加した妙高市諏訪町の無職女性(84)は「それぞれの専門の先生が分かりやすく、優しく教えてくれたのが良かった。教わったことを日々の生活から意識し、健康寿命を延ばしていきたい」と笑顔を見せた。

 けいなん総合病院では来年も春と秋に、フレイル予防教室の実施を予定している。リハビリテーション科の江口竜人(たつひと)技師長(51)は「今回を踏まえて内容をブラッシュアップし、より良い形を模索していきたい」と話す。板垣史朗事務長(53)は「医療再編が取り沙汰される中、病院がいかに地域のためにあり続けるかが問われている。予防や検診にも積極的に取り組んでいきたい」と語った。

 写真=フレイル予防教室で、理学療法士の指導を受けながらストレッチをする参加者ら(

妙高市)

                           (2021/12/03 新潟日報掲載)


















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