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にいがた健活講座「もっと知りたいアレルギー~花粉症とぜんそくの対処法~」

新潟大学医歯学総合病院呼吸器感染症内科

小屋 俊之病院教授

 

 こや・としゆき 群馬県出身。1993年、新潟大学医学部を卒業。同大学院医歯学総合研究科呼吸器・感染症内科学分野准教授などを経て21年から現職。日本内科学会総合内科専門医、日本アレルギー学会専門医、日本呼吸器学会専門医などを務める。


 

過剰な免疫反応が原因 治療の継続を



 アレルギーとは体外から侵入した病原体を防いだり、体内にできたがん細胞を排除したりするのに不可欠な免疫反応が花粉やダニ、ほこり、食べ物などに対して過剰に起こること。原因となる花粉などをアレルゲンと呼びます。

花粉症やぜんそく、食物アレルギーといった一般的なアレルギー疾患はさまざまな刺激に反応するマスト細胞に花粉などをアレルゲンと認識するIgE(アイジーイー)抗体がくっついて起こります。そこにアレルゲンが付くと、マスト細胞からヒスタミンなどが出て、アレルギー反応が起こります。中でも急性の全身性かつ重度な反応をアナフィラキシーと呼び、血圧低下や呼吸困難、意識がなくなるなど生命の危機に関わる状態をアナフィラキシーショックと言います。救急車の要請や、アドレナリン自己注射(エピペン)が必要となります。




 近年、アレルギー疾患は増えていて、特にアレルギー性鼻炎が多いです。

 アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンが鼻粘膜に付き、アレルギー反応が起ききます。花粉が原因で特定の季節に起こるものが花粉症。結膜炎や喉頭炎も引き起こします。鼻水などは風邪や新型ウイルスの症状に似ていますが、感染性のものは発熱が特徴。熱や悪寒がなく、花粉の飛散時期に症状があれば花粉症です。スギ花粉は、晴天で湿度が低く乾燥した日などに飛びやすくなります。一番上にウール素材を着ることは避け、服についた花粉を払ってから家に入る、帰宅後は洗顔して花粉を洗い流す、窓を閉めて花粉の侵入を防ぐなど部屋に持ち込まないように心掛けましょう。

治療は、くしゃみや鼻水は抗ヒスタミン薬、鼻詰まりはステロイドなどの点鼻薬が有効です。アレルゲンを定期的に投与し反応を抑える免疫療法もあります。





 ぜんそくは、空気の通り道である気管支の粘膜に常にアレルギー性炎症が起こり、気道が狭くなる病気です。息を吐くと喉がゼーゼー、ヒューヒュー鳴る、ちょっとした運動をしたり、たばこの煙やほこりを吸うと咳が出るなどの症状があります。発作を繰り返すと、粘膜下層が厚くなり、気管支が硬くなる「気道リモデリング」が起き、適切な治療を受けないと病状がさらに悪化する可能性があります。

 ぜんそくのアレルゲンは、カビやダニ、ペット、花粉の一部などです。発作を誘発する要因の一つにウイルスがあり、ウイルスが気管支の粘膜を壊し、そこからアレルゲンが入って炎症が悪化し、発作を起こします。また、季節の変わり目も、気圧などの関係で発作が起きやすいので要注意です。

治療は、吸入ステロイド薬で気道の炎症を抑えます。今は気管支拡張剤も配合した薬が主流です。そして、症状がなくても治療を続けることが大切。治療の継続で粘膜の荒れが取れ、ぜんそく症状のない生活が送れるようになります。薬物療法と併せて、ダニや埃ほこりなどのアレルゲンを減らしたり、風邪をひかないようにしたり、ストレスを避けるなど、日常管理も重要です。

 アレルギー疾患はアレルゲンをなるべく避けることが基本です。部屋をきれいにする、花粉を持ち込まないなどの方策を取ってください。



実践講座「ミニ講話 新型ウイルスと免疫」


 実践講座では、小屋先生が「新型ウイルスと免疫」と題しミニ講話を行いました。「ウイルスは増殖過程で変異するため、毎年インフルエンザが流行する。新型ウイルスも同じ。今はワクチンや治療薬があり、かかってもしっかりと対応できます」と説明しました。




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