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にいがた健活講座「心臓をまもる~心不全予防と心臓リハビリ~」

新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器内科学

猪又 孝元教授

 

 いのまた・たかゆき 1965年、糸魚川市生まれ。新潟大大学院修了後、独マックスプランク研究所に留学。帰国後、北里大北里研究所病院循環器内科教授などを経て、2021年から現職。日本心不全学会理事、日本心臓リハビリテーション学会理事などを務める。専門は心不全。


 

動脈硬化と高血圧に注意 血管守って


 いきいき健やかに暮らすためのヒントを探る「にいがた健活講座」が1月29日、新潟日報メディアシップ(新潟市中央区)で開かれました。新潟大学大学院医歯学総合研究科の猪又孝元教授が、心不全のメカニズムや症状などを語りました。


 心臓は心筋と呼ばれる筋肉でできていて、全身に血液を送り出すポンプの役割をしていますが、そのポンプの力は鍛えられません。しかも、再生能力もない。元気で長生きするには、心臓を傷めないようにすること。生まれ持った心臓の筋肉という貯金の目減りを最小限にするしかありません。

 心不全は、何らかの原因で心臓のポンプ機能が損なわれている状態を指します。多くは、心臓に酸素と栄養分を運ぶ冠動脈が目詰まりする心筋梗塞によって起こります。血管が詰まる要因は動脈硬化。血管の内側にたまったグチュグチュのプラークが破けると内皮が損傷し、血栓がつくられて詰まります。また高血圧も大きな原因で血圧が高いと心臓が力を入れて全身に血を送らなければならず、負担により心筋が厚くなる心臓肥大になります。筋肉の傷みは全て血管が左右するので、いかに血管を守るかにかかっています。

 心不全は突然起こるイメージですが、実は心臓が傷み、だんだん悪くなります。心筋はゴムに似ていて、伸ばせば伸ばすほど縮む力が強くなる特徴があります。例えば、心筋梗塞で機能が3割失われても、残り7割で今までと同じ働きをしようと心臓を大きくして対応します。でも、伸ばし過ぎると伸びきって縮まなくなり、最後は急激に動かなくなります。心不全は症状出現の有無を境に予後が一変します。だからこそ、早期発見が重要です。



頸の皮膚の揺れ発見の一助


 心不全は肺がうっ血し、息切れを引き起こすことが多いです。重症化すると、夜間発作性呼吸困難が起きます。横になると息苦しく、咳が出るなどするが、起き上がると楽になる。これが寝入りばなに起きます。緊急入院の対象です。最近は、靴を履くときなどかがむと息苦しくなる症状(ベンドネア)も注目されています。

 余剰な血が全身にたまっていくと、脚がむくみます。ただ、夕方にかけて徐々にむくみ、朝起きたら軽い、左右のむくみ方が違う場合はリンパ管や静脈などの問題で原因は加齢です。

 健診で心電図やレントゲンがありますが、限界もあります。心不全の早期発見には、血液検査「BNP(B型/脳性ナトリウム利尿ペプチド)」が有効です。また、心臓が受け止めきれない余剰な血液が頸にたまるため、頸の皮膚の揺れが起きます。人間が立っている時、頸は絶対揺れません。揺れている場合は心不全を含めた血管病の前兆である確率が高いので、調べてみてください。



本県も疾患対応強化の動き


 近年、心不全の新薬も続々出ていますが、予防が大事です。方法は、生活習慣病管理と運動に尽きます。特に高血圧に注意。運動は薬1、2剤分の効果があると科学的に実証されています。脚の筋肉も大切で、足先の血が心臓に返ってくるのは、筋肉が血管を絞り上げるように血を上げていくから。病気の人は脚が細くなるので、太いうちは大丈夫ですよ。

 循環器病基本対策法の成立を受け、県も心血管疾患への対応を強化しています。その中で重要になるのが、運動や食事、生活管理などを組み合わせた循環器疾患の包括的疾病管理プログラム「心臓リハビリテーション」です。多職種のチーム医療で取り組んでいくので、皆さんも日頃の健康に気を付けてください。


実践講座「心臓リハビリテーション体験」


 実践講座では、心臓リハビリテーションを体験。魚沼基幹病院の理学療法士で心臓リハビリテーション指導士の今井遼太さんが、室内で座ったままできる有酸素運動などを紹介しました。「運動療法は心疾患再発や悪化の減少、生活の質改善などに有効です。そして継続することが大事」とアドバイスしました。




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