にいがた健活講座「健康寿命を延ばすお酒との付き合い方」

河渡病院 

若穂囲徹院長

 

 わかほい・とおる 1958年、新潟市生まれ。新潟大学卒業後、新潟大学医歯学総合病院で勤務。90年より河渡病院でアルコール医療に従事。2014年から現職。日本アルコール関連問題学会理事、新潟大学医学部臨床教授、県精神医療審査会委員。




 

多量飲酒心身に影響

適量を守る心掛けを


 いつまでも健やかに暮らすためのヒントを探る「にいがた健活講座」が12月18日、新潟日報メディアプラス(新潟市中央区)で開かれました。河渡病院の若穂囲徹院長が、多量飲酒のリスクや適正な飲酒量などを解説しました。


 アルコールは、依存性を持つ物質であることが特徴です。脳に作用し癖がつき、また欲しくなる。そのため、短期使用でも急性アルコール中毒になるし、長期間、大量に使えば身体や精神に症状が出て慢性中毒症状になります。麻薬や覚せい剤ほどではありませんが、依存性が強く、飲酒運転や暴力などのリスクがあります。自分に悪気がなくても言葉が荒くなるなど、酔うと抑えられないことも。それらを自覚することが大事です。

 2016年調査データによると、週3日以上で1日当たり1合以上(清酒で換算)飲酒する習慣がある人の割合と、生活習慣病のリスクを高める飲酒(2合以上)をしている割合の両方で、新潟県は男女とも全国平均を上回っています。

 アルコールが肝臓に悪影響を及ぼすことは有名ですが、胃腸や心臓も悪くなります。膵臓も悪くなり、膵炎や糖尿病になります。この場合の糖尿病は重症で、痩せても良くなりません。悪くなる一方で、失明や心筋梗塞などの合併症が増えていきます。

 アルコールは精神にも影響します。心の健康とは「その場にふさわしい、その人らしい、態度・行動がとれる状態」。その「心」の働きは、意識、知能、性格の3要素が混ざって作られます。「意識」は自分が分かり、周りが見えていること。でも、お酒が進むと分からなくなり、意識がもうろうとして寝てしまう。これは睡眠ではなく、意識が落ちていく意識障害です。体を叩いても起きず、場合によって呼吸が止まるのが急性アルコール中毒です。「ふさわしい」とは標準が分かる知能、「その人らしさ」は性格のこと。普段おとなしい人が急に怒りっぽくなり暴れる。これがお酒の力です。お酒が3要素に影響することを理解しましょう。


日本酒は1合目安

食事と共に楽しむ


厚生労働省は「1日平均純アルコールで20㌘程度」を節度ある飲酒と定義しており、ビールなら中瓶1本、日本酒では1合、酎ハイ(7%)は350㍉㍑缶1本、ウイスキーダブル1杯などにそれぞれ相当します。酎ハイはアルコール度数にも注意が必要です。男性より肝臓が小さく、アルコール分解酵素の働きが弱い女性、高齢者、お酒を飲むと赤くなったり、具合が悪くなったりする人は、もっと少量に抑えましょう。

 アルコールの血中濃度を上げないためにも、ゆっくり食事しながらの飲酒がお勧め。枝豆や海藻、野菜、肉など、ビタミンやミネラル、タンパク質、程よい脂質が含まれているものを食べましょう。血中濃度が高くなると、そのアルコールが脳を刺激して変化させ、さらに刺激を欲します。人間の脳は1回良い思いをすると、それを繰り返したくなるもの。お酒は身近で簡単に手に入るため、危険だと覚えておいてください。



依存症は治療重要

回復後も再発注意


 今後は、治療ギャップへの対策も必要です。一般科との連携はもちろん、依存症への誤解や偏見も解きたいです。依存症は悪い病気ではありません。その人が一生懸命働き、たまたまお酒をたくさん飲んだら病気になっただけ。適切な治療で良くなる病気ですが、再発しやすいところが難点です。

 加齢とともに酒量を減らしましょう。もし1錠で良く効く薬を3錠飲めと言われたら、危ないと思いますよね。これがお酒ならどうでしょう。1合から3合は3倍ですが、お酒を飲む人は変わらないと思ってしまう。年を取って体が無理できないのに量を減らせないのは、既に脳が病気で変わっているかもしれません。